街録ch 上祐史浩氏

 街録ch というYouTubeチャンネルがある。一見したところ、会議室などではなく、あえて街頭を選んで有名人やアウトロー界隈の関係者にインタビューをする、というチャンネルのようで、それなりのチャンネル登録者と再生数をもつようだった。

そのチャンネルの動画に先日、オウム真理教元幹部である上祐史浩氏に取材をしたものがアップロードされており、興味深く拝見した。

このブログを見るような人には説明は不要かもしれないが、簡単に説明をしておく。彼は教団の幹部クラスであったが、教団が松本サリン事件や地下鉄サリン事件などの重大事件を起こす以前からロシア支部の支部長としてロシアに出向していたことから重大犯罪事件では起訴されず、懲役3年の実刑判決を受け収監、1999年末に出所。その後はオウム真理教の後継団体である「アレフ」の代表を務めたのち、団体内の派閥対立により別団体として独立し、現在「ひかりの輪」の代表を務めている。

動画を見ていてすぐ気づくのが、彼は取材者の質問に対して長く考えこむことなく、すぐに返答している点であり、また、過去の出来事について語るとき「あれは○年の○月から○月にかけてのことで、その○年前には~があったように~~という社会情勢だったことから」といった風に、時系列が彼の頭のなかでかなり整理されているような印象を受けた。もちろん取材を受けるに際して事前に何かしらの方法で記録を振り返ったりしていた可能性もあるし、証言のそれぞれについて私が文献等にあたって検証しているわけではないから正確性についてはある程度割り引いて考える必要はあるかもしれないが、それでも私のような凡俗にとっては彼の受け答えははっきり言って普通ではなかった。

動画は、生い立ち~入信~逮捕~その後の活動といったように概ね時系列に沿って話を展開する形となっているが、生い立ち~逮捕にかけての感想は省略する。


現在の活動について。現在、彼は宗教団体ひかりの輪の代表を務めており、活動内容は「仏教哲学や心理学を学ぶセミナーを開講したり、寺社仏閣などのパワースポットなどを巡るツアーの主催」などで、有り体に言えば「サークルのようなもの」だと彼は語る(中立性を期すために記述するが、Wikipediaではひかりの輪について「公安調査庁は、麻原の影響力を払拭したかのように装うオウム真理教の後継団体であり、麻原の死刑が執行された2018年7月以降も依然として麻原の影響下にあるなど、危険な体質との認識を変えていない」と述べられている)。また、オウム被害者に対しての賠償というのも団体の存在の趣旨であるとしている。

現在の活動を行っているモチベーションのひとつとして、「以前、テレビの討論番組のようなものに出演した際(編集によりカットされたものの)、ある人に『あなたは自殺して然るべきだ』と言われ、スタジオ中が同じようにその人の発言に賛同し『上祐自殺しろ』の大合唱となった。しかし、少し考え方をかえてみると、それは『仮にその人が私と同じことをしてしまったら、自殺したくなってしまうような心理状態になるという意味ではないか』とも思えて、そういった取り返しがつかないことをしてどん底に沈んでしまった人を救うのも私の使命のひとつかもしれないと思った」というようなことを言っていたのが印象的だった。


最後に。彼は早稲田大学大学院修了後、特殊法人宇宙開発事業団(現:独立行政法人宇宙航空開発機構=JAXA)に就職し、一ヶ月ほど働いたのちに出家するために退職したというが、それについて取材者が「もしそのままJAXAで働いていたら、家庭を築いていわゆる"普通の人生"を送っていたかもしれないと思うことはないのか」と尋ねた。それに対し、彼は「実は就職した時点でほとんど婚約者といっていいような関係の女性がいて、JAXAをやめてから無理矢理一緒に出家するというような形になってしまった。」とし、「だから確かに普通に家庭を持ったり、もしかしたら"はやぶさ"に関わるということもあったかもしれない」というようなことを語った。このときだけ、自身を常に俯瞰しているような淡々とした語り口のなかに、ほんの少しだけ寂しさを感じたのは私だけだろうか。そこが印象的だった。

メディアははじめからポジショントークをするつもりしかなく、「とにかく上祐は悪」というような見せ方をしがちで私も割とそう思っていたが、(オウム真理教の流れを汲んている以上警戒する必要はあるとはいえ)彼に対する見方が少し変わった動画だった。

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