東京バカッ花

 室井滋のエッセイ、「東京バカッ花」を読んだ。

以前「室井滋のエッセイが面白い」と誰かから聞いて、それをたまたま思い出したため古本コーナーで100円だったものを買った。

室井滋さん、早稲田大学社会科学部7年中退というなかなかイカした経歴の持ち主。この本は故郷を飛び出してやってきた東京での大学在学中のエピソードを盛り込んでいる。怪しいバイトの話、奇人・変人な先輩や友人の話、警察の取り調べを受けた話などを面白おかしく書いている。

特に印象深かったのはあとがきだった。以下、一部抜粋

「東京でひと花咲かせてやる」

田舎から新しい生活の場を求めて初めて東京へやってくる人には、誰にも上京の夢とドラマがある。(中略)

私はお金持ちになりたいとか(略)、特別な野望や大志をいだいて上京したクチではなかった。

それでも何か……言葉にならない……何か、私なりのひと花を咲かせたいと希望に燃えていたに違いない。

僕が今こうして生活しているのは東京ではないけれど、地元から遠く離れた地にいる。地元にも大学はある。なんなら進学せずに就職したってよかった。それなのにここにいるのは、何か掴みたいものがあったからのはずだ。

しばらくそんなもののことは忘れてしまっていた僕はもう田舎に帰ってしまえばいいのかもしれないとも思ったけれど、言葉にならないぼんやりとした何かがまだある気もする。

自分を見つめ直してもう少し頑張ってみようと思えた一冊だった。

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