「LISTEN 知性豊かで創造力がある人になれる」を読んだ
先月上旬に体調を崩して療養していた際、かなり暇だったのでKindleでいくつか本を買って読んだ。そのうちの一冊がこれだ。この本の主張を私はおおおよそ次のように理解している(間違いもあるかもしれない)。
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この本はタイトルからもわかる通り「聴く」ことに主眼を置いている。"hear"ではなく"listen"、日本語では「聞く」と「聴く」の違いに近い。ただ単に耳に音や言葉が入ってくることを指す"hear"ではなく、注意深く耳を傾けることを指す"listen"だ。では、「聴く」ことはなぜ必要なのだろうか?どんなメリットがあるのだろうか?
<「聴く」ことの良い点>
話を聴いてもらう側の視点からすると、聴いてもらうことで孤独感が軽くなることが利点だ。逆に言えば、話を聴いてもらえないことで人は強く孤独を感じる。そして孤独は健康を害するということを示唆する研究も多い。テクノロジーの進化により私たちはSNSで自らの考えなどを発信したり、タイムラインやネットニュースなどから膨大な量の主張や情報を得たりすることができる。その一方で人の話をじっくり聴いたり、よく話を聴いてもらったりする経験はそれに比べるとあまりないのではないだろうか(私にもそういう心当たりがあった)。仮に目の前に人が居て会話をしていても、SNSやYouTubeやNetflixが気になって相手の話の内容に集中できないという場面もあるかもしれない。
そういった世の中だからこそ、じっくり話を聴いて、相手に安心感を与えることができれば、信頼してもらえる。一種の差別化戦略のようにワークする。これが聴く側にとっての利点だろう。
そして両者にとって、「より多くの情報を得られる」というメリットがある。うまく話を聴くことができれば、相手が経験したことや感情を理解することができる。相手が何かに精通している人、専門性を有している人であれば知識や物事のコツなどを引き出すこともできるかもしれない。話す側も、そういった会話を重ねることでぼんやりと掴んではいたが意識していなかったこと、認識できていなかったことに気づくことができる。本文中の例では、「赤ちゃんの声が耳に障る」という母親との対話により「自分が小さかったころに、誰も何もしてくれなかったことを思い出す」という言葉を引き出し、赤ちゃんの声が心的外傷後ストレスを引き起こしていたことがわかった、というエピーソードがあった。
このように、聴くことで信頼関係を築き情報や感情を共有する能力が育っていった結果、副題にあるような「知性豊かで創造力がある人になれる」ということなのだろうと私は解釈した。
<「聴く」技術は簡単ではない>
ただ、この「聴く」技術は簡単なものではないと本文中では断じられている。巷にあふれる「聴く」ことのテクニックーーたとえば、「相手の話を遮らない」とか「相槌を打つ」、「相手の言葉をオウム返しする」などーーは、重要なことではあるけどもその先にあるもの、たとえば営業として売上を上げる、異性とのデートを取り付ける、上司に気に入られ出世するなどが唯一の動機なのであればそれは「聞いているふり」だと見透かされるという。
そうならないために、聴くことにおいて何よりも重要なのが好奇心だという。自分が何かを話しているときに、相手があからさまに興味がなさそうな様子だったという経験は誰にでもあると思う。そんなとき、本当に言いたいことを話す前に会話をやめてしまったり、どうでもいい話題に転換したという経験もあるのではないだろうか?これを踏まえると、聴く側がはじめから「つまらない」「興味がない」と決めつけているから本当に会話がつまらないものになる、という機序もあり得るのだ。
<気張りすぎない>
また、「うまく会話をしよう」という気持ちが強すぎるあまり、相手を誘導する形の会話になったり、「次は何を話そう?」「うまい言葉を言いたい」などと考えてしまったりすることも聴くことの妨げになるという。言葉に詰まって沈黙してしまったり、ありきたりな言葉しか出てこなかったりすると確かに気まずい場面もあるのだが、好奇心を持って聴く姿勢を見せていればそこまで不快なものではないらしい(自分の経験と照らしてもそういうこともあるのかなと思う)。だから、繰り返しになるが、聴くことと並行してあれこれ考えるよりも、好奇心を持って相手の話に耳を傾けることが重要だということだ。
<感想>
本文中ずっと具体的な技術の話はあまりなく、ここまでも述べてきたようなマインドセット的な話だったので思っていたのと少し違った。ただ、先にも述べたように小手先のテクニックは見透かされてしまうから、本当に心から関心を持って、全力で耳を傾けるのが大事ということなのだろう。
心理学を中心とした学術研究を引用した話も多く、単純にそれ自体が興味深かったのに加え、「聴く」メリット・「聴かない」デメリットがよく伝わってきた。
自分の普段の行動と照らし合わせてみると、私は「次は何を話そう」とか、どう話を着地させるかとかを考えたりしながら聞いていることが多いように思えたためそこは一層を気をつけたい。人との会話中や食事中はスマートフォンを触らないように、机にも置かないようにしているが、それは大事なことのようなのでこれからも続けたい。
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