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構造素子

  久しぶりに書評でも書いていきたいと思います。 構造素子 - 樋口恭介 第5回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作の文庫版ということで平積みになっており、タイトルもシンプルでかっこよく、思わず手に取りました。 売れないSF作家だった父が死に、主人公である息子が未完の草稿を母から渡され、それを読み、続きを書き足していく、というのが大まかな流れです。途中、L-P/V基本参照モデルだとか言って物語が語られる世界が違ったりするのですが細かいことを完璧に理解しなくてもいいと私は思います(というより私もよく理解できませんでした)。 この小説が伝えたいことは、解説でも述べられているように「世界は言葉でできている」ということだったように思います。 「言葉が物語を生み、物語の中に世界が生まれ言葉が物語を生み…」「言葉で伝えることができないことを伝えるために物語を紡ぎ、物語が言葉を生み…」 いろんなかたちで言葉と物語、物語と世界、世界と言葉について語ることができるかもしれませんがすべて「世界は言葉でできている」に帰結するのだと思います。 父が綴った物語から伝わるのは、父から息子への愛情です。幼少期の主人公と父とのエピソードの描写はなかなかに胸にくるものがありました。しかしながら(解説の引用が続きますが)、解説には 「この本は(父と子の)愛の物語、ではない。『この世には一言では表せない気持ちというものがあり(愛もその一つだ)、それは物語にしなければだれにも伝わらない』ということを、複数の、互いに独立したプロットを持つ物語を投入して、描いた本である」 とあります。私は読んでいる途中完全に自分の父と自分を重ねながら読んでいたのですが、これから読む人にはそこにこだわらず「一言では表せない気持ち」にフォーカスして読んでほしいと思います。 ともあれ、著者による補記には 「全ての読みとは誤読にほかならず、(中略)全てが当然のごとく誤っているのだとすれば、誤っているという意味で正しいと言うこともでき、あなたがそう思うそういう意味で、あなたの読みは全て正しい」 とあり、私たちは好きに読めばいいということです。 とにかく、ページ数が多く、構造も複雑で難しいのですが、言葉と言葉がつくる世界について考えさせられる作品で面白いと思いました。

フード・インク(Food.inc)

プライムビデオで視聴。 食品工業を支配するのは数社の巨大多国籍企業だ。巨大資本は利潤の最大化のために徹底的に効率的で、その裏にはいくつもの不都合な真実があるという話。 例えば食肉。我々も大好きなハンバーガー。マクドナルドが工場的な製造方法を生み出して以来消費は拡大している。パテの原料となる牛や豚は身動きをとるのも難しいような密度で閉じ込められ、糞尿にまみれ、短いサイクルで肥らされ屠殺される。これだけ不衛生だから、工場で作られたハンバーグに混入していた大腸菌による死亡事例もある。しかし食の安全に関する法整備はまだまだだという。 糖尿病の増加も巨大企業の支配が関与している。トウモロコシはシロップに加工されたり牛や豚の飼料となったりするがその生産には助成金が与えられ、スナック菓子や糖分を多量に含んだ飲料やハンバーガーが安価に流通する。ブロッコリー一つを買うよりもハンバーガー一つを買うほうが安いというメカニズムが作られてしまっている。 では、先に述べた、食の安全に関する法整備の遅れ、トウモロコシへの多額の助成金というのがなぜ存在するのかというと、農務省の重要ポストに食品産業を支配する巨大企業の関係者がいるからだ。 企業は肥満や糖尿病は個人の責任と言うが本当にそうだろうか? 最後に、我々には一日に3回投票する機会がある、と述べられる。 「企業がそういうものしか売らないから仕方がない」のではなく、彼らは資本主義の原理に従って、コストを最小化し売上を最大化する方法をとっているにすぎない。我々消費者がもっと真剣に食の安全、自分や家族の健康、動物の福祉、環境の保全、食に関連する産業の持続性を考えたとき、これまでと同じような消費選択をするだろうか。 我々には一日に3回、投票する機会がある。 あまりうまくまとめられなかったがご愛嬌。

おいしいコーヒーの真実

おいしいコーヒーの真実 原題:Black Gold プライム・ビデオで視聴。 数字などの情報のそれぞれは取材当時の2005年のものである。

掌握し制圧した【おからハンバーグ】

昨日敗れた相手を完全に掌握し、制圧することに成功したのでここに記す。

何様

何様 朝井リョウ 2013年直木賞受賞作「何者」のサイドストーリー。 6つの短編からなるが、本のタイトルにもなっている6つ目の「何様」が最も印象に残った。

ボトルネック

ボトルネック ボトルネック 米澤穂信    主人公のリョウは高校1年生。2年前に事故で死んだ恋人を弔いに事故現場、東尋坊へと向かう。現場の崖へ行き弔ったのち、立ち去ろうとすると目眩がし、崖から転落してしまう。

赤毛のアン

赤毛のアン モンゴメリ作・村岡花子訳