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どうしようもなさ、無能

 先日知人に会いに東京へ行った。最近フットワークが軽くなったというか、なにか行動することに躊躇がなくなってきた。東京の繁華街もやはり臭かった。久方ぶりに会った彼は東京の街によく馴染んでいた。最後に会ったのはもう3年以上前だったが随分変わったなと思った。 日帰りの弾丸旅行だった。私は帰りの高速バスの時間を勘違いしていた。バスタ新宿を必死に走ったが、わずか30秒及ばずバスは出発してしまった。仕方がないから品川まで移動して新幹線に乗った。 自分の無能さが悔しくて、悲しくて、辛くて、しかしながらどうしようもない。高校3年生のころ、大学受験のための小旅行で新幹線の切符を紛失して改札を出る際にさらに交通費を払わなければならなくなったときのことを思い出した。中学生のころ、トイレ掃除をするときにホースで乱暴に水を撒いてトイレットペーパーをいくつもダメにして怒られたときのことを思い出した。この前だって不注意で貴重な実験サンプルを無駄にしてしまったところだ。私は昔からずっと、ほんとうに無能だ。 うんざりとした気分のまま帰宅して、夕食を食べようと冷蔵庫を開けてみた。3ヶ月前に買ったキャベツがラップに覆われたまま鎮座しているだけで、用に足るような食材はなかった。3ヶ月もすればドロドロになってしまうと思っていたが冷蔵庫に入れておけば意外と腐らないようだ。 今朝、そのキャベツを捨てた。験担ぎとかそういう意味ではないが、このどうしようもなかった3ヶ月間を払拭してまたなんとかやっていこうと思った。本格的に夏が来る前に、ドロドロに腐りきってしまう前に、処分することができてよかった。

2022年3月

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間もなく2021年度にも別れを告げ、4月を迎える。 ここ数日でアパートの駐輪場はがら空きとなった。そしてまたしばらくして自転車や原付きに埋め尽くされるに違いない。  そういえば週末など、日中部屋にいると引越し業者が出入りしていたっけ。 気づいたころには近所の桜は八分咲きだった。 そんな、季節の変わり目の臭いをギリギリまで嗅ぎ取れない程度には生活に追われていた。 ===就職活動=== 就職活動は可もなく不可もなくといった感じだ。2月中にすでに募集を開始していたところは全落ちして、「うまくいけば3月中に内々定!」と思い描いていた通りにはいかなかったが、競争率の高い企業だったから、単純にそれは仕方のないことだ。書類選考・WEBテストを通過して面接に漕ぎ着けたという点を評価すべきだ。 むしろそこを経験したから、より気を引き締め、その後に活かすことができたと考えるべきだ。 と、このように強気なことを言っているが面接全敗が続いていたときはほんとうにしんどかった。書類選考段階で落ちることはあまりなかっただけに、自分が人間性で劣っているだとか、あまりにも対人能力に欠けているだとか、そういった考えに取り憑かれていた。 通過した一次面接も、正直なぜ落とされなかったのかがわからない。話し方もたどたどしかっただろうし、話した内容も大したものではなかった。短く言えば、スキルがないうえに意欲もコミュニケーション能力もないことが露呈したと思う。 ある企業は面接後にフィードバックをくれた。良かった点としては、聞かれたことに対してしっかり返答している(Aと聞かれてA'と返している)点・作ってきた答えだけを話すのではなく、そこを深堀りされたときにしっかりと考え、整理し、自分の言葉で話せているという点を挙げてもらった。改善点としては、「(緊張しているというのもあると思うが、)話していてなかなか感情が伝わってこない」ということを指摘された。 私は自分の感情を表に出せなくなっている、というのは就職活動のなかで得た気づきの一つだ。いつからこうなったのかはわからない。思い当たるのは、中学校の先生がとても厳しくて、「怒られないこと」が日々の目的になっていたり(それでも私は頻繁に怒られたのだが)、ずっと体育会系の風土にいたりしたことで行動の基準が「やりたい/やりたくない」ではなく「やらなければならない/して...

Rakuten Hand を入手した

 先日、突然楽天モバイルからメールがきた。 お客様各位 ※本メールは弊社で「Rakuten Mini」をご購入いただいたお客様にお送りしています。 本日より、以前Rakuten Miniをご購入いただき、本メールを受け取ったお客様限定で、「Rakuten Hand」を無料でプレゼントするキャンペーンを開始しました。 以下URLから「エントリー」と「希望カラーの選択」が必要になりますので、是非ご応募ください。 ということで早速エントリーして無料でプレゼントしていただいた。キャンペーン概要は以下のように報じられている。 楽天モバイル、「Rakuten Hand」を無料配布→即終了 対象はRakuten Miniユーザー https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/2202/21/news103.html 楽天モバイル、「Rakuten Mini」の対象購入者に「Rakuten Hand」をプレゼント https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1389635.html どうやらすぐさま申し込みが在庫数に到達したようだ。まず Rakuten Hand の基本的な情報を整理したい。 2020年12月8日発売。ディスプレイは約5.1インチ / 有機EL。4GB (RAM) / 64GB (ROM)。重量約129g。メインカメラは約4,800万画素 (広角) + 約200万画素 (深度測位)。おサイフケータイ対応。生体認証は画面内指紋認証と顔認証。 ディスプレイは近年のスマートフォンのなかでは小さい部類だ。Handという名はその特徴をよく表したネーミングだ。もう1年以上前に発売されたので細かいところは検索すればいくらでも出てくるのでここではそういった話は控えたい。 そもそもなぜ楽天モバイルがこのような大盤振る舞いに打って出たのか。おそらく、その理由はいたってシンプルで、顧客の流出を防ぐためだろう。 約1年半くらい前から1年間無料キャンペーンを展開し、顧客数を増やしてきた。ちょうど1年前にはそのキャンペーンとともに Rakuten Mini を売り切る態勢に入っていた。今回のキャンペーンの対象者が Rakuten Mini 購入者であることとも合致する。 楽天モバイルの料金プランは基本料金...

NOKIA のワイヤレスイヤホン E3511 を買った

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 タイトルの通り、NOKIA のワイヤレスイヤホンを購入した。 謎(中華?)メーカーからの脱却 今まで使っていたワイヤレスイヤホン(4年近く前に買った謎メーカーのもの。3000円くらいだった)にあまり不満はなかったのだが、最近使っていて、バッテリーもちが悪くなっている気がした。そもそもケースに収納しても接触が悪いのか充電が開始されなかったりもした。そのため新しくワイヤレスイヤホンを買おうとは二ヶ月前くらいから考えていた。 Anker か JVC か 真っ先に候補になったのは Anker の Soundcore シリーズ。特に Soundcore Life P3 , Soundcore Life P2 Mini , Soundcore Liberty Air 2 Pro , Soundcore Life P2 。なかでもSoundcore Life P3は10,000円を切る価格ながらノイズキャンセリング機能があり、再生時間も長くコストパフォーマンスに優れる機種だ。 Soundcore Life P3 次に考えたのがJVCのもの。 HA-A8T や HA-A7T など、見た目的にも価格的にもSoundcore Life P2 などに近い。JVCというブランドを考えても音質も標準的なものだろう。 HA-A81 SONY?AirPods?知らない子ですね……(コスパ至上主義) NOKIA の発見 NOKIAウェブサイトより そうこうしながらAmazonを眺めていると、NOKIAのイヤホンが目についた。そもそもNOKIAがイヤホンを作っているということ自体初めて認識した。 NOKIAといえばかつて世界最大の携帯電話メーカーだったというあの企業。市場占有率および販売台数の両方で、1998年から2011年まで首位を維持していたが、スマートフォーン時代で低迷(Wikipedia情報)。本社所在地はフィンランド。 フィンランドといえばアレである。北欧である。 北欧イメージ図 北欧といえばアレである。福祉が手厚く、教育無償化や女性の社会進出に力を入れていることもあり意識高い系に人気が高い地域である。社会制度の面だけでなく、北欧家具という言葉が人口に膾炙しているようにインテリアや建築、自動車のデザインに関しても評価が高く、日本の意識高い系やサブカル系ともっとも親和性の高い地域の...

内心を裁くのとレッテル貼りはマジでやばい

  人を裁くな。あなたがたも裁かれないようにするためである。  あなたがたは、自分の裁く裁きで裁かれ、自分の量る秤で量り与えられる。 ーーーマタイ福音書 7章 1節, 2節 表題の通り。内心を裁くのとレッテル貼りはマジでやばい。 自分を高潔な人間と言うわけではないが、人の内心を裁かないようにしているという点では自負がある。この理念は昨年4月に書いた記事( 猜疑心は罪 )でも述べている。 自分が悪意を持って他人を傷つけようだとか他人を苛立たせようだとか考えたことはほとんどないから、他人もそうであると信じている。行動の陰にあるのは(邪悪でもなんでもない)やむを得ない事情か、人間誰しも持つ弱さや甘え(誰もが持つ性質であるからそれを咎めるのも野暮)だと思う。 こういう理念を持ったり、それを他人に期待したりするのにはもちろん「自分が咎められたくないから」という、いわば私の甘えや弱さもある。しかし、思ってもないことで人に咎められたくないのは誰だってそうだから、私のこの弱さ・甘えも許容されるべきだ。 一度「レッテル貼りモード」「内心裁きモード」に入ってしまうと、真実が一切見えなくなってしまう。"邪悪な内心"を前提としてその行動が引き起こされたメカニズムを考えると、一応は一切の隙がない理屈を作り上げることが可能で、 (前提以外は)文字通り完璧な論理なので、自分の中でますます確信を強めてしまう からだ。 内心を裁くのとレッテル貼りはマジでやばい。内心裁きとレッテル貼りの習慣化はポルノ中毒みたいなもん。 === "内心を裁かない"自負は割とあるが、ここから先は自戒を強く込めた話になる。 そもそも、他人を咎めたり、レッテル貼りをしたくなるのは、他人が自分の期待した欲求を満たしてくれないからだ。欲求が満たされないことに不満を持ってしまうことは仕方ないだろう(これも人間誰しもが持つ性質だと思う)。しかし、その先の責任を相手に丸投げしていないかということが問題になる。責任を負わないと不満を蓄積しやすいスパイラルに入りやすいのだと感じる。何も背負わずに無条件で自分の欲求が満たされると思ってはいけない。 自分の欲求や不満を伝えていただろうか。そして、その伝え方はわかりにくくはなかっただろうか。仮に自分に問題がなかったとして、相手の内心を裁いて、レッテルを貼っ...

私の雪中行軍

 ちょうどこのくらいの時期だったと思う。当時の私はまだ中学1年生で、身長は160センチ台で、体重は40キロ台だった。そして毎日、教科書と野球道具をギチギチに詰め込んだ重いバッグを背負い通学していた。 道路には雪が積もっていた。最近でこそ雪がまったく積もらないような年もちらほらあるが、私の育った地域は豪雪地帯とまではいかなくとも、それなりに雪が積もる地域だった。 春から秋にかけて、私は自転車で通学していた。しかし、雪が積もっていると自転車で家と学校を行き来するわけにはいかなかった(実際には雪が4,5センチほど積もっていた日に、自動車が作った轍をなぞるように、慎重に自転車を漕いで学校へ行ったことが一度だけあるが担任の教師に叱られた)。冬季は朝は父親に学校まで送ってもらうことが多く、帰りには学校前の個人商店脇に設置されている公衆電話で母に電話をかけて迎えに来てもらうことが多かった。 その日はまだテスト期間ではなかったが、なぜか部活動が休みだった。確か長時間の職員会議が予定されており、顧問が様子を見に来ることができないから休みだったのだと思う。部活動がないということはつまり、私には放課後に友人と遊ぶ以外に選択肢はなかった。 中学生のころの私たちのメイン拠点は上田の家だった。彼の家は私の帰宅方向と同じ方向にありながら、学校からは300mほどしか離れていなかった。遊戯王やドラベース、MAJORなど漫画が多く揃っており、ファミコンからPS3までビデオゲームも充足していた。家の前の空き地は野球やサッカーをして遊ぶのにちょうどよかった。田舎の男子中学生にとってこれ以上の遊び場はなかった。 その日も学校終わりに、上田と、ほか二人ほどの友人とともに上田の家に行った。遊びたい盛りだったというのもあるが、母のパートが終わるまでまだ時間が掛かりそうだから、それまで時間を潰すという意味合いもあった。私と上田は無類のパワプロ好きだった。私が上田の家に行ったときはよくPS2のパワフルメジャーリーグ2009で対戦したものだ。だからおそらくその日も上田とパワメジャで対戦したのだと思う。 時間はあっという間に過ぎて、2時間ほど経った。外は随分暗くなっていたし、私の母のパートも終わっているだろう時間だった。私は上田の家の電話を借りて母に連絡した。こちらに向かうまでちょっと時間がかかるとのことだったか...

【書評】友情 武者小路実篤

詳細なあらすじは Wikipedia などで見てほしい。 短くいえば主人公(野島)は女(杉子)に惚れ、いつも友人(大宮)に相談するが、杉子は野島などには目もくれず大宮しか見ておらず、そして大宮と杉子が順当に結ばれるというありがちといえばありがちな話だ。 野島は俺たちであり俺たちは野島だ 野島は大宮が自分のことを応援してくれていると心から信じていた。実際大宮は杉子に対してうっすらと好意を抱きながらも、野島を立ててサポートしてはいた。さらに、大宮は「杉子は自分に気がある」と勘づいて、野島のほうに目が向くように(もともとそういう希望があったとはいえ、)わざわざヨーロッパに留学までした。 それでも杉子の意志は変わらなかった。対面するときは野島に対して好意とまではいかなくとも敬意があるように振る舞いながらも、ヨーロッパに渡った大宮に彼女が宛てた情熱的な手紙では、野島はこき下ろされていた……とまではいかなくとも「あんなやつは眼中にない」と言わんばかりの、路傍の石同然の扱いだった。 大宮も大宮だ。少なくとも私からすれば「僕も実は杉子が好きやねん……」と言われたうえで上述の結果になるほうがまだ納得がいくのだ。彼はヨーロッパに渡ってからもはじめのうちは野島と手紙のやりとりをしていたのだが、ある時期からそれがピタッと止まり、そしてしばらくして突然に「こういう経緯があって僕は杉子と結ばれるねん」と通告してくる。 野島は友情という綺麗事と女の表面上の振る舞いという二つのものに騙され、裏切られてきたことを突然かつ同時に知る。そして彼はこう言う。「神よ我を救い給え」 野島は俺たちであり、俺たちは野島だ。世界の残酷さを見せつけられ、 自己防衛のために 「綺麗事はクソ」「女はクソ」「すべての人間はクソ」と息巻く。そして、それでもなお、騙され、裏切られる。俺たちはバカだからだ。そして更に自己防衛の呪詛を強くしていく。野島は俺たちであり、俺たちは野島だ。 神よ、俺たちを救ってくれ。